経営

カード決済手数料のしくみ、はじめてでも5分でわかる基本

カード決済手数料とは何か、誰が誰に払っているのか、なぜ事業者によって違うのか。専門用語をできるだけ使わずに、クリニックの経営者・事務長が最初に押さえておきたい基本を図解で整理します。

KEY POINTS

この記事の要点

  1. カード決済手数料は、患者ではなくクリニックが支払うコスト
  2. 相場は決済額の2〜3%程度。1,000万円の決済なら月20万〜30万円になる
  3. 料率は契約先や取扱高で変わるため、比べないと高いか安いか分からない

カード決済手数料は、毎月の売上から自動的に差し引かれるため、金額を意識しにくいコストです。一方で、自由診療が中心のクリニックでは売上の多くがカード決済を通るため、気づかないうちに大きな金額になっていることがあります。

この記事では、専門用語をできるだけ使わずに、カード決済手数料の基本を5つのポイントに分けて説明します。細かい仕組みよりも、「何が起きているのか」をつかむことを目的にしています。

1. 手数料を払っているのは、クリニック

患者がカードで支払うとき、患者が払う金額は現金のときと同じです。手数料は、カードでの支払いを受け付けたお店の側、つまりクリニックが負担します。

1万円の施術をカードで支払ってもらった場合で考えてみます。手数料が3%なら、クリニックに入金されるのは1万円から300円を引いた9,700円です。この300円が「加盟店手数料」と呼ばれるものです。

カード決済のお金の流れの図解
1万円をカードで受け取ったときのお金の流れ

なお、この手数料をカード払いの患者にだけ上乗せすることは、カード会社との規約で禁止されています。詳しくはカード決済手数料は患者に上乗せできるのかで解説しています。

2. 相場は決済額の2〜3%程度

医療機関のカード決済手数料は、決済額の2〜3%程度が一般的な相場とされています。医療機関向けの条件を用意している事業者では、1.5%前後の料率が提示されるケースもあります。

「数%」と聞くと小さく感じますが、金額にすると印象が変わります。

  • 月のカード決済が300万円なら、手数料は月6万〜9万円
  • 月のカード決済が1,000万円なら、手数料は月20万〜30万円
  • 年間にすると、それぞれ72万〜108万円、240万〜360万円

家賃や人件費のように請求書が届くわけではないため、この金額を意識する機会は多くありません。

3. 手数料は、いくつかの会社に分けて配られている

クリニックが払った手数料は、一つの会社がすべて受け取っているわけではありません。大きく分けると、次の会社に配られています。

  • クリニックが契約しているカード会社(加盟店契約会社): 手数料を受け取り、各社に配る窓口
  • 患者のカードを発行した会社: 手数料の大部分を受け取る。内閣官房の資料では、手数料の約7割を占めるとされています
  • Visa・Mastercardなどの国際ブランド

つまり、手数料の大部分は仕組みとしてあらかじめ決まっていて、契約先のカード会社が自由に決められるのは残りの部分です。それでも、その残りの部分や契約条件の違いによって、事業者ごとに料率の差が生まれます。

4. 同じクリニックでも、契約先や条件で料率は変わる

料率は全国一律ではなく、次のような条件で変わります。

  • どの会社と契約しているか(カード会社と直接か、決済代行会社を通すか)
  • 月や年間でどれくらいの金額をカードで受け付けているか
  • どのカードブランドの利用が多いか

特に気をつけたいのは、開業してから一度も条件を見直していないケースです。開業時は取扱高が小さいため、その時点の条件で契約していることが多くあります。その後、売上が伸びて取扱高が大きくなっても、条件は自動的には変わりません。

5. 高いか安いかは、比べてみないと分からない

自院の料率が高いのか安いのかは、他の条件と比べてはじめて分かります。見直しの第一歩は、次の3つを確認することです。

  • 今の手数料率(ブランドごとに違う場合はそれぞれ)
  • 契約している会社の名前
  • 契約期間と、解約するときの条件

明細を見ても料率が分かりにくい場合は、契約書を確認するか、契約先に問い合わせると教えてもらえます。

なお、比べるときは料率だけを見るのではなく、入金されるまでの期間(入金サイクル)、端末の費用、月額の固定費なども合わせて確認します。料率が低くても、入金が遅いと資金繰りに影響することがあるためです。

用語ミニ辞典

記事や明細でよく見かける言葉を、ひとことで説明します。

  • 加盟店手数料: カード払いを受け付けたお店(クリニック)が払う手数料
  • アクワイアラー: クリニックが契約するカード会社。手数料を受け取って各社に配る
  • イシュア: 患者のカードを発行したカード会社
  • インターチェンジフィー: アクワイアラーからイシュアに支払われる部分。手数料の大部分を占める
  • 決済代行会社: 複数のカード会社との契約や端末の手配をまとめて引き受ける会社
  • 入金サイクル: カードで受け付けた売上が、クリニックの口座に入金されるまでの間隔

よくある質問

カード決済手数料は誰が払うのですか?

カード払いを受け付けたクリニックが払います。患者が払う金額は現金のときと同じで、手数料を患者に上乗せすることはカード会社の規約で禁止されています。

クリニックのカード決済手数料はいくらぐらいですか?

決済額の2〜3%程度が一般的な相場とされています。医療機関向けの条件を用意している事業者では、1.5%前後の料率が提示されるケースもあります。

手数料が高いかどうかは、どうすれば分かりますか?

今の手数料率・契約先・契約期間を確認したうえで、他の事業者の条件と比べてみるのが確実です。料率だけでなく、入金サイクルや端末費用なども合わせて比べます。

まとめ

カード決済手数料は、クリニックが負担するコストです。相場は決済額の2〜3%程度とされ、決済額が大きいクリニックほど、年間では大きな金額になります。料率は契約先や条件によって変わり、開業時の条件のままになっていることも少なくありません。

まずは今の条件を確認するところから始めてみてください。月の決済額と料率を入れるだけで年間の差額を試算できるページも用意しています。カード決済手数料の見直し・削減額シミュレーションからお試しください。手数料の内訳をもう少し詳しく知りたい方は、クリニックのカード決済手数料は下げられるのかもあわせてご覧ください。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の成果を保証するものではありません。手数料の水準・制度は変動しますので、実際のご検討にあたっては各事業者にご確認のうえご判断ください。

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