クリニックのカード決済手数料は下げられるのか
カード決済手数料は毎月の売上から自動的に引かれ続けるコストです。手数料がどう決まるのか、下げる余地はどこにあるのかを、公開情報をもとに整理します。
キャッシュレス決済を導入している医療機関にとって、カード決済手数料は毎月の売上から自動的に差し引かれ続けるコストです。一度契約すると見直す機会が少なく、開業時に決めた条件のまま何年も経っているというケースは珍しくありません。
この記事では、決済手数料がどのような仕組みで決まるのか、そして下げる余地がどこにあるのかを、公開情報をもとに整理します。
手数料の相場は2〜3%程度
複数の決済サービス事業者の情報によると、医療機関におけるクレジットカード決済手数料の相場は2〜3%程度とされています。一方で、医療機関向けの条件を用意している事業者もあり、1.5%前後の料率が提示されるケースも出てきています。
この差は小さく見えるかもしれませんが、カード決済の取扱高が大きい医療機関ほど、年間では無視できない金額になります。特に自由診療中心で1件あたりの単価が高いクリニックでは、影響が大きくなります。
手数料はどう決まっているのか
手数料率が事業者によって異なる背景を理解するには、手数料の内訳を知っておくと役に立ちます。
加盟店が支払う手数料は、契約先であるアクワイアラー(加盟店契約会社)に支払われます。ただし、その全額がアクワイアラーの収入になるわけではありません。内訳としては、カードを発行した会社(イシュア)に支払われるインターチェンジフィー、国際ブランドに支払われるブランドフィーなどが含まれています。
内閣官房の「成長戦略実行計画」(2021年)で示されたヒアリング内容によれば、加盟店手数料の約7割をインターチェンジフィーが占めるとされています。つまり、手数料の大部分は構造的に決まっている部分であり、事業者が自由に設定できる幅はその残りの部分ということになります。
なお、このインターチェンジフィーについては、2023年6月に経済産業省が配分率を公開しています。従来は不透明だったこの領域に情報公開が進んだことで、加盟店側も交渉の材料を持ちやすくなってきています。
料率が変わる要因
手数料率は一律ではなく、次のような要因によって変動します。
- 業種・事業規模
- カードブランド(ブランドごとに標準料率が異なる)
- カードのランク(上位ランクのカードほどインターチェンジフィーが高くなる傾向)
- 決済代行会社を介するか、アクワイアラーと直接契約するか
- 年間の取扱高
- 対面決済かオンライン決済か
- チャージバックや不正利用の発生状況
このうち医療機関側でコントロールしやすいのは、契約先の選定と取扱高を踏まえた交渉です。取扱高が増えているにもかかわらず、開業時の条件のまま据え置きになっている場合、見直しの余地がある可能性があります。
見直しを検討する際の進め方
1. 現在の条件を正確に把握する
まず確認したいのは、現在の手数料率、契約先(決済代行会社かアクワイアラーか)、契約期間や解約条件です。明細を見ても料率が分かりにくい場合は、契約書や事業者への問い合わせで確認できます。
2. カードブランドごとの内訳を確認する
「手数料3%」と一括りに認識していても、実際にはブランドごとに料率が異なることがあります。どのブランドの決済が多いかによって、実質的な負担は変わります。
3. 複数の事業者から見積もりを取る
条件は事業者によって異なるため、比較しないと現在の条件が適正かどうかは判断できません。医療機関向けの条件を用意している事業者もあるため、複数から見積もりを取ることをおすすめします。
4. 手数料率以外の条件も確認する
入金サイクル(月1回か月複数回か)、端末費用、月額固定費、対応している決済手段の範囲なども、実質的なコストや運用の手間に影響します。手数料率だけで比較すると、かえって不利になることもあります。
「変えるのが面倒」というコスト
決済事業者の変更には、端末の入れ替えやスタッフへの説明といった手間が発生します。この手間を理由に見直しを先送りしているケースは多いと思われます。
ただ、決済手数料は一度条件が変われば、その後は自動的に効果が続くコストです。一度の手間で毎月の負担が変わることを考えると、見直しの費用対効果は高い部類に入ります。
よくある質問
クリニックのカード決済手数料の相場はどのくらいですか?
複数の決済サービス事業者の情報によると、医療機関では2〜3%程度が一般的な相場とされています。医療機関向けの条件を用意している事業者では、1.5%前後の料率が提示されるケースもあります。
なぜ事業者によって手数料率が違うのですか?
手数料の内訳のうち、カード発行会社に支払われるインターチェンジフィーや国際ブランドに支払われるブランドフィーは構造的に決まっている部分です。事業者が独自に設定できるのはその残りの部分であり、加えて業種・取扱高・契約形態などによって提示される条件が変わります。
契約中でも手数料の見直しはできますか?
契約内容によりますが、取扱高が契約時から増えている場合などは、現在の事業者との交渉で条件が変わることもあります。まずは契約書で契約期間と解約条件を確認したうえで、複数の事業者から見積もりを取って比較することをおすすめします。
手数料率だけで決済事業者を選んでいいですか?
入金サイクル、端末費用、月額固定費、対応決済手段の範囲なども実質的な負担に影響します。手数料率が最も低くても、入金サイクルが遅ければ資金繰りに影響しますので、総合的に判断することをおすすめします。
まとめ
カード決済手数料は、相場が2〜3%程度とされる一方、契約先や条件によって差が生じます。手数料の大部分はインターチェンジフィーなど構造的に決まる部分ですが、契約先の選定や取扱高を踏まえた交渉によって、見直しの余地が残っている場合があります。
開業時の条件のまま長く据え置きになっているようであれば、一度現状を確認してみる価値はあります。当社でも、決済手数料をはじめとする経営コストの見直しについてご相談を承っています。詳しくは開業支援・経営支援サービスのページをご覧ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の成果を保証するものではありません。手数料の水準・制度は変動しますので、実際のご検討にあたっては各事業者にご確認のうえご判断ください。
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