採用

医師採用がうまくいかない理由と、採用を成功させる考え方

医師採用が難航する背景には、母集団の狭さや条件設計、選考スピードなど複数の要因が重なっていることが少なくありません。医療機関が採用を前に進めるための考え方を、一般的な観点から整理します。

医師の採用は、他職種の採用と同じ進め方では思うように進まないことがあります。求人を出しても応募が集まらない、面談まで進んでも辞退が続く、採用できても早期に退職してしまう。こうした悩みは、規模や診療科を問わず多くの医療機関で聞かれるものです。

この記事では、医師採用が難しくなる背景と、採用を前に進めるための考え方を、一般的な観点から整理します。個別の状況によって最適な打ち手は変わりますので、あくまで検討の出発点としてお読みください。

医師採用が難しくなる、構造的な背景

医師採用の難しさは、担当者の努力不足に起因するものではなく、市場の構造から生じている部分が大きいと考えられます。

母集団そのものが限られている

一般的な職種と比べ、医師は資格保有者の絶対数が限られています。さらに診療科・専門領域・地域を絞り込むと、要件に合致する候補者はごく少数になります。「応募が来ない」のではなく「そもそも要件に合う医師の数が少ない」という前提から出発する必要があります。

転職が「公開市場」に出にくい

医師の転職は、知人の紹介や医局とのつながりなど、表に出ない経路で決まることが少なくありません。求人媒体に掲載しているだけでは、検討している医師の目に触れないまま採用機会を逃してしまう可能性があります。

医師が見ているのは条件だけではない

給与や勤務日数はもちろん重要ですが、それだけで意思決定がなされるとは限りません。どのような診療方針か、どの程度裁量があるか、指導体制やバックアップはあるか、長期的にキャリアをどう積めるか。こうした情報が十分に伝わらないまま条件だけが提示されると、判断材料が足りず検討が止まってしまうことがあります。

「うまくいかない」ときに見直したい4つの観点

採用が停滞しているとき、次の観点を順に点検すると論点が整理しやすくなります。

医師採用がうまくいかないときに見直したい4つの観点の図解
見直したい4つの観点

1. 求人要件が広すぎる、または狭すぎる

「経験豊富で、当直も可能で、専門領域にも精通していて、長期勤務できる方」といった要件を並べると、該当者はほとんど存在しなくなります。逆に要件が曖昧すぎると、応募が来ても相互のミスマッチが起きやすくなります。

有効なのは、「絶対に譲れない条件」と「相談可能な条件」を分けて整理することです。この整理があるだけで、候補者の幅は現実的に広がります。

2. 条件が市場の相場感から離れている

条件設定は難しい論点です。相場から離れていれば応募は集まりにくくなりますが、単純に条件を引き上げれば良いというものでもありません。人件費の増加は経営を圧迫し、既存スタッフの処遇との整合も問われます。

まず確認したいのは、自院の条件が現在の市場でどのように受け止められるかという相場感です。そのうえで、金銭以外に提示できる価値、たとえば勤務日数の柔軟性、通勤しやすさ、業務範囲の明確さなどを含めて、総合的な魅力として設計していくことが現実的だと考えられます。

3. 選考のスピードが合っていない

医師の転職検討では、複数の選択肢を並行して比較していることが一般的です。面談日程の調整に時間がかかったり、意思決定が滞ったりすると、その間に他院で話が進んでしまうことがあります。

  • 面談候補日を複数用意し、初回接触から短期間で設定できるようにする
  • 面談後の回答期限を、院内であらかじめ決めておく
  • 意思決定者が誰かを明確にし、承認の経路を短くしておく

こうした準備は、採用の成否に直接影響しうる要素です。

4. 自院の魅力が言語化されていない

「アットホームな職場です」「風通しの良い環境です」といった表現は、多くの求人で使われるため差別化になりにくい面があります。

一方で、「初診の時間を十分に確保している」「診療方針は医師の判断を尊重している」「事務作業はスタッフが担う体制がある」といった具体的な記述は、医師が働く姿を想像する助けになります。抽象的な形容ではなく、日々の業務がどう回っているかを具体的に伝えることが重要です。

採用を「点」ではなく「線」で考える

採用は、入職して終わりではありません。定着し、活躍してもらうところまでを含めて設計する必要があります。

採用は、組織の未来を決める意思決定である。

早期離職が起きる場合、選考段階での情報共有が不十分だったケースが少なくありません。忙しさの実態、当直やオンコールの頻度、想定される患者層。これらを事前に率直に伝えることは、短期的には候補者を減らすように見えても、結果として定着率を高めることにつながりうると考えられます。

また、入職後の立ち上がりを支える仕組み、たとえば初期の面談機会や相談先の明示なども、定着を左右する要素になります。

外部の専門家を使うという選択肢

採用活動には相応の時間と手間がかかります。院長や事務長が診療・経営と並行して進めるには限界があるのも実情です。

人材紹介会社などの外部パートナーを活用する場合、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。

  1. 医療分野に関する知見と実務経験があるか
  2. 候補者を紹介する際、条件面だけでなく志向性まで把握しているか
  3. 自院の状況を理解したうえで、要件設計から相談に乗ってもらえるか
  4. 入職後のフォローについてどう考えているか

当社でも、医療機関の採用支援を行っています。詳しくは医療人材紹介サービスのページをご覧ください。

よくある質問

医師の採用にはどのくらいの期間がかかりますか?

診療科や求める条件、地域によって大きく異なりますが、要件が現実的に設定されている場合でも、初回の面談から入職まで数ヶ月単位の時間がかかることが一般的です。要件が狭いほど期間は長くなる傾向があります。

求人媒体に掲載するだけでは採用できませんか?

求人媒体だけでも応募が集まるケースはありますが、医師の転職は知人紹介や医局とのつながりなど非公開の経路で決まることも多く、媒体掲載だけでは接点を持てない候補者が一定数存在します。複数の経路を組み合わせることが現実的です。

早期離職を防ぐために一番大事なことは何ですか?

選考段階での情報共有だと考えられます。忙しさの実態やオンコールの頻度、想定される患者層などを事前に率直に伝えることで、入職後のギャップによる早期離職を防ぎやすくなります。

紹介会社を使う場合、何を基準に選べばいいですか?

医療分野の知見と実務経験があるか、候補者の条件面だけでなく志向性まで把握しているか、要件設計から相談に乗ってもらえるか、入職後のフォロー体制があるか、といった点を確認することをおすすめします。

まとめ

医師採用がうまくいかない背景には、母集団の狭さ、転職市場の特性、条件設計、選考スピード、情報発信のあり方など、複数の要因が重なっていることが多いと考えられます。

一度にすべてを解決する必要はありません。まずは要件の整理と、選考プロセスの見直しといった、自院で着手できるところから始めてみることをおすすめします。

採用に関するご相談は、医療人材紹介のページからお問い合わせいただけます。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の成果を保証するものではありません。実際の採用活動においては、各医療機関の状況に応じてご判断ください。

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